海運のキーワード「内航船」とは一体なにか? 歴史ある「山形県酒田港」に見る地方港の復権

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明治時代に酒田米穀取引所の付属倉庫として建てられた「山居倉庫」。水路に接しており、小舟への積み下ろしをした(筆者撮影)
明治時代に酒田米穀取引所の付属倉庫として建てられた「山居倉庫」。水路に接しており、小舟への積み下ろしをした(筆者撮影)

経済産業省と国土交通省は2024年12月24日、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律に基づき、 酒田港に近い山形県遊佐町(ゆざまち)沖の事業者、「山形遊佐洋上風力」を選定した。

丸紅、関西電力、英国BP Iota、東京瓦斯、丸高の5社で構成される事業者だ。事業計画によれば、発電設備出力は45.0万kW。これは1.5万kWの風車30基分に相当する。

採用する機器は、スペインのSiemens Gamesa Renewable Energy製で、運転開始予定期間は2030年6月を見込む。

洋上風力発電は全国各地で建設が進んでいるが、特に日本海側では秋田、能代、そして酒田・遊佐という南北に続くラインで、実用化見込まれるわけだ。

いま「古代~江戸末期」から5度目の大転換期へ

酒田市では、現在でも陸上の風力発電、太陽光発電、そしてバイオマス発電など、多様な再生可能エネルギーの供給基地が稼働している。ここに、大規模な洋上風力発電が加わるわけだから、酒田港を含む庄内地方にとって「古代~江戸末期」から数えて、5度目と言える大きな転換期を迎えるといえるだろう。

本間所長は、酒田市民について「港に直接、関わる人は少なくなったが、自分の町が港町であるという誇りがある」という。また、工藤副所長は「酒田は、常に新しいものを(柔軟に)受け入れようという地域性がある」と表現する。

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内航船へのモーダルシフト、そして洋上風力発電を筆頭とする再生可能エネルギーを活用した、地産地消型の新たなる産業の構築。庄内地方の「ヒト・モノ・コト」が未来に向かって歩む姿を、これからもあたたかく見守っていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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