山形県港湾事務所によれば、鈴与海運とコスコシッピングラインズジャパンが連携する新航路(酒田~新潟~門司~博多)の活用に対して、問い合わせがあるという。
ただし、物流の2024年問題を機に「事業を拡大したい」と考える日本海側の港湾事業関係者も少なくないため、港同士の競争も激しくなってきている。
各地の声をまとめて聞こうと、物流全般に関する国内最大級展示会である、国際物流総合展(2024年9月10~13日)を取材したが、日本海側の地方港の港湾関係者、また太平洋側の主要港の港湾関係者と意見交換すると、船舶物流の現状に対してポジティブとネガティブの両面からの声があった。
ポジティブ面では、「2024年問題によって地方港に光があたる、またとないチャンス」という声が多い。一方で、「港の間での過剰な競争による(荷や航路の)奪い合いになっては意味がない」と、ネガティブな流れを危惧する意見もある。
そのうえで、国に「陸上輸送に比べて遅れているDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を強化した、次世代に向けた具体的なロードマップの提示」を求める声が少なくなかった。
話を酒田に戻すと、酒田港は山形県内では最大規模の港である。港としての沿革は後述するが、内航船については地理的な課題を抱えてきた。
「何かをやれば、何かが変わる時期」
山形県の主要産業は、県庁所在地である内陸部の山形市を中心として、村山地域に多い。そこから京浜地域までの距離は、400km超。高速道路で5時間ほど の立地のため、物流が酒田港にあまり向かないのだ。
だからこそ、物流の2024年問題は、酒田港にとって「またとないチャンス」だと言える。
本間所長は、内航船による海上輸送について「何かをやれば、何かが変わる時期。今ある航路を続けて(維持)することが大事」だと、今はまさにモーダルシフトに向けた転換期にあるとの認識を示した。
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