JR貨物にとって「物流の2024年問題」はチャンスか 貨物鉄道輸送150年、執行役員に聞く今後の展開

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JR貨物執行役員鉄道ロジスティクス本部営業部長の麦谷泰秀氏
インタビューに応じるJR貨物執行役員・鉄道ロジスティクス本部営業部長の麦谷泰秀氏(撮影:梅谷秀司)
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日本の貨物鉄道輸送は、鉄道が開業(旅客輸送)した翌年、1873年9月15日に旅客と同じ新橋―横浜間で貨物列車が走ったのがはじまりであり、2023年は「貨物鉄道輸送150年」の節目に当たる。
「150年という長い歴史の中で、変容するニーズにあわせて輸送機材や輸送体系を変えながら、社会が必要とする物資を運び続けてきた」(JR貨物広報室)貨物鉄道は、現在、大きな変革期に差しかかっている。二酸化炭素(CO2)排出削減の世界的な潮流であるカーボンニュートラル実現に向けた動き、トラックドライバーの時間外労働時間の上限が年960時間に制限される「物流の2024年問題」、さらに近年、激甚化している自然災害への対応等が迫られているのだ。
鉄道貨物輸送の現状および今後に向けた対応について、JR貨物執行役員で鉄道ロジスティクス本部営業部長の麦谷泰秀氏に話を聞いた。(2023年8月29日インタビュー実施。以下、敬称略)

「環境特性」PRして輸送量増やしたい

――カーボンニュートラルに関しての社会的な意識が高まりつつあり、鉄道は環境負荷の小さな輸送手段であることから追い風となると思われる。現状を知りたい。

鉄道輸送は長距離輸送にメリットが大きく、当社もこれまで長距離輸送を得意分野としてきたが、お客様の環境問題への意識の高まりや、いわゆる物流の2024年問題などから、中距離輸送に関しても引き合いをいただく機会が増えている。CO2排出量は、鉄道は営業用トラックの約11分の1、船舶と比べてもおよそ半分であり、こうした環境特性をもっとPRして、輸送量を増やしていきたいと考えているところだ。

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