北海道と本州間の鉄道輸送の存続が議論されている。価格競争だけではない付加価値を見いださなければ、鉄道輸送は縮小のおそれもある。
北海道から本州には、青函トンネルを通って年間186万トンの貨物が鉄道で運ばれている。そのうち47%を農産品・青果物が占める。北海道発の玉ねぎの64%、ジャガイモの37%が鉄道輸送だ。ちなみに、本州からは宅配便を中心に191万トンの貨物が鉄道で輸送される。
「関西以西は航路が一本でつながっていないが、レールで全国がつながっている鉄道は使い勝手がいい。コストも遠距離になるほど割安になる」
ホクレン農業協同組合連合会物流部の岡田拓也課長は話す。北海道発の農産品は収穫期の関係から出荷の繁閑差が大きい。こうした繁閑差は鉄道輸送が吸収している。また、船の輸送では港までトラック輸送が必要で、2024年問題の中で道北・オホーツクから太平洋側の港まで向かうトラックの確保も難しくなる。
年数十億円の維持費を誰が負担するか
こうした中、北海道と本州間の鉄道輸送をめぐって焦点になっているのが、函館線長万部―函館間(約148キロ)の並行在来線の行方だ。2030年度末以降に予定される北海道新幹線の札幌延伸開業に伴いJR北海道から経営分離される同区間をどう維持するかで、議論が紛糾している。
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