JR貨物にとって「物流の2024年問題」はチャンスか 貨物鉄道輸送150年、執行役員に聞く今後の展開
――カーボンニュートラルに関して別の観点から見ると、年間の品目別輸送量のうち、石油が占める割合が非常に大きい。今後、脱石油の動きが一層進めば、経営へのインパクトは避けられないと思われる。
石油輸送の直近の傾向は、ウクライナ情勢の長期化による原油高騰の影響によるコスト増等の影響はあるものの、コロナ禍が収束傾向にあることからレジャー需要が増加するなどし、2022年度は567万トンと、2021年度の554万トンから少し増えている。もちろん中長期的に見ればEV(電気自動車)の増加などにより、石油製品の輸送需要の減少は避けられないと思われるが、一方で将来的にどれくらいのスピードで減少していくのかも、予想がつかない。当社は内陸地への石油製品の安定供給という非常に重要な使命を担っており、需要を見ながらきちんと対応していく。
輸送品目、伸びているのは何か
――先ほど、中距離輸送の引き合いが増えているとの話があったが、近年の輸送量全体の推移を見ると横ばいか、もしくは微減の傾向にある。その理由はなぜか。
追い風となる要素がある一方で、いまだにコロナ禍の影響が残るなど、マイナスの要素もあるためだ。コロナ期においては、イベント自粛などの影響から紙製品の需要の落ち込みがとくに大きかった。また、現在はほぼ回復しているが、2022年度は半導体不足による自動車の生産調整の影響も受けた。例を挙げると中京圏の部品メーカーから東北や九州にある自動車組立工場への輸送等は相当のボリュームがあり、影響も大きい。そのほか、ウクライナ情勢、円安・物価高による一般消費者の買い控えなどの影響もある。
――中国による日本産水産物の輸入停止措置の影響は出ているか。
直近の話なので、まだ影響を見極められないが、北海道などでは、すでに影響を懸念する声は出てきている。
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