海運のキーワード「内航船」とは一体なにか? 歴史ある「山形県酒田港」に見る地方港の復権

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対応してくださったのは、所長の本間隆氏、副所長・港湾振興室長の工藤正信氏、そして酒田市からは地域創生部商工港湾課の鈴木孟徳氏である。

左から、山形県港湾事務所・所長の本間隆氏、同副所長の工藤正信氏、酒田市・地域創生部商工港湾課の鈴木孟徳氏(筆者撮影)
左から、山形県港湾事務所・所長の本間隆氏、同副所長の工藤正信氏、酒田市・地域創生部商工港湾課の鈴木孟徳氏(筆者撮影)

まずは、モーダルシフトに向けた直近の動きを確認した。山形県は、国内物流の一部を、トラックから海上輸送である内航船にシフトさせようというのだ。

その呼び水として、2024年度(令和6年度)にコンテナ貨物利用の促進助成制度を設けている。特徴は、これまで荷主向けだった助成制度を、航路を担う船社と海貨業者向けに新設したことだ。

「新規航路・増便助成」といい、船社が1000万円/航路、海貨業者が780万円/航路を上限として、助成を受けられる。さらに、荷主に対しても、上限100万円の「モーダルシフト等促進助成」も設定された。

「物流の2024年問題」の中で、政府が推奨する地方港の変革の目玉として、内航船による海上輸送に光が当たっている。山形県と酒田市は、このチャンスをしっかり捉えようと積極的な動きを見せているのだ。

酒田港、北港の国際ターミナルの全景。この約4km先に洋上風力発電の大型風車が新設される予定だ(写真:山形県)
酒田港、北港の国際ターミナルの全景。この約4km先に洋上風力発電の大型風車が新設される予定だ(写真:山形県)

山形県港湾事務所によれば、日本海側のコンテナによる内航船(内航フィーダー)の航路が開設されてから、まだ7か月 ほどしか経っていないという。

なぜ「内航船」が注目されるのか?

日本における物流は、明治以降に鉄道輸送、さらに大正から昭和にかけては一般道路でのトラック物流が盛んとなり、さらに高度成長期になって高速道路の整備が進み、長距離トラック輸送が拡大し、今に至っている。

そうした中で、京浜エリアや阪神エリアなど、大規模な港がある太平洋側に比べ、物流の量が少ない日本海側の内航船は、事業性を確保しにくいため発展が大きく遅れていた。

そこに、就業時間に対する法的な制約、トラックドライバーのなり手不足、そして環境対策によるCO2排出量削減など、さまざまな要因が重なり、日本海側の内航船が注目され始めたというわけだ。

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