海運のキーワード「内航船」とは一体なにか? 歴史ある「山形県酒田港」に見る地方港の復権

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このように、物流や港湾のあり方が時代とともに変化する中、酒田港の様相も変わってきた。そして今、物流の2024年問題を機に、トラックから内航船へのモーダルシフトを模索している最中にある。

「酒田海洋センター」に立ち寄ると、酒田港の歴史だけではなく、港に関するさまざまな展示があった(筆者撮影)
「酒田海洋センター」に立ち寄ると、酒田港の歴史だけではなく、港に関するさまざまな展示があった(筆者撮影)

物流の2024年問題は、トラックドライバーの労働環境への対応のみならず、運送・運輸に関わる企業としてESG投資への考慮が必須である点が、酒田港を含めて地方港にとって大きなビジネスチャンスになっている。

ESG投資とは、財務情報だけではなく、環境、社会性、ガバナンスを考慮した投資のことで、荷主にとっては、CO2排出量の削減に直結する内航船を利用するメリットがある。

これまでコストや輸送時間を優先することで敬遠され気味だった内航船に対して、光が当たったのだ。

ただし、前述のように、内航船による船舶輸送のさらなる整備については、国が主導する総括的なプランをより強く打ち出すことが必要である。

新たな課題「洋上風力発電の基地港湾」

日本ではこれまで、モーダルシフトやMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)という言葉が、大きな社会変化を及ぼさないまま、先に走ってしまった感がある。

見方を変えれば、内航船など船舶物流においては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の導入効果が大きいと言える。

そしてもうひとつ、酒田港には今、近未来に向けた大きな話題がある。洋上風力発電の「基地港湾」だ。

国土交通省は2024年4月、港湾法に基づいて「海洋再生可能エネルギー発電等設備拠点港湾(基地港湾)」に酒田港を指定した。

基地港湾では、洋上風力発電の建設のための船舶による部材の搬入・搬出、埠頭における部材の管理、部材組み立てを行う。その洋上風力発電に関わる事業者も決まった。

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