長時間労働が問題となっているトラックドライバーの労働環境改善へ向けた働き方改革法が施行されてから4月で1年。しかし、労働時間が減ることは、労働環境の改善にはつながっていないようだ。どういうことか。自身もトラックドライバーとして働いた経験を持つ橋本愛喜氏がリポートする。
SAPAでの「シャワー待ち行列」
「働き方改革?……いやいや、とんでもない。改革どころか“改悪”でしかないですよ」
他業種から遅れること5年。トラックドライバーたちにも2024年4月「働き方改革関連法」が施行され、時間外労働が年960時間に制限された。
が、現場から絶えず聞こえてくるのは冒頭のような嘆きの声だ。トラックドライバーの労働環境が長時間労働の是正をもって解消されることは決してない。
同法施行後も高速道路のサービスエリア・パーキングエリア(SAPA)で昼間から入浴セットを抱えた男性トラックドライバーがつくる「シャワー待ちの行列」は、筆者がそう断言する裏付けの1つと言っていい。
長距離トラックドライバーたちは、一度地元を離れると1週間前後、長いケースだと2週間近く戻らずに、車中泊をしながら全国各地を走り回る生活を送る。
1日の大半を過ごすのはキャビンの中(車内)だ。
運転中はもちろん、指定時刻までの時間調整や、荷物の積み降ろしまでの「荷待ち」の間も、その小さな空間で待機する。トラックドライバーは、「われわれの仕事は運転ではなく待つこと」と皮肉るほど「待つ」時間が長い。
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