物流危機、3月末に迫り来る「荷物を運べない現実」 「これ以上は残業できない、もう走れない」

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夜間休憩する長距離トラックのイメージ
トラック輸送は泊まり勤務も多かった。子育て世代が働くには厳しく、待遇の改善が求められていた(記者撮影)

「2023年まではなんとかトラックを確保できたが、最近は必ずしも確保できるわけではない。需給が変わってしまっている」――。そう話すのは、大手EC事業者の仕事も手がける物流企業の幹部だ。

以前は荷物の情報量を1とすると、運べるトラックの空車情報は1.3~1.4というバランスだったが、最近は1を下回ることも増えているという。空きトラックの情報が減り、運べない荷物がでてきているのだ。

協力会社に配送を委託できない場合、自社の車両でなんとか対応する、もしくは帰りの荷物がなくても往復分の運賃を払って委託する、などといったケースがあるという。

この幹部は「(実際に走る)運送会社の運賃の条件をどんどん上げなければならないが、荷主からは十分な額をもらえていない。運賃だけでなく効率も上げていかなくては」と苦しい状況を語る。

空きトラックの情報がどんどん減少

物流業界では2024年4月、ドライバーの残業について年間960時間までの上限規制が導入され、拘束時間などの制限も一段と強化された。より多くの人員が必要になり、コスト上昇が課題となっている。いわゆる「物流2024年問題」だ。

2024年問題はテレビなどで、主に宅配の現場の話が取り上げられてきたが、長距離ドライバーの労働環境の改善が本来の趣旨だ。足元では規制の影響が如実に表れている。

大型・中型ドライバーの賃金推移

「車両の情報数が、月を追うごとに減っている」。こう話すのはトランコム・名古屋情報センターの兼田慎二センター長だ。

トランコムは全国1万3000のパートナー運送会社と連携し、荷物と空きトラックを人力でマッチングする「求貨求車」サービスを提供している。

残業規制を受けて、長距離の運行を担っていた運送会社は中・短距離へのシフトを進めている。トランコムの東海エリアでは、2024年の上期は全体でトラックの空車情報が約10%減少。中でも600キロ以上を走る長距離トラックの情報は約20%減ったという。

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