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物流効率化の義務化/中長期計画策定や物流統括管理者の選任……「改正物流効率化法(物効法)」にどう向き合うか

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やの・ゆうじ 流通経済大学教授、同大流通情報学部長、物流科学研究所長を務める(写真:編集部撮影)

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物流機能の維持は、もはや運び手側の努力だけでは難しい――。そんな現実を背景として2025年4月に「改正物流効率化法(物効法)」が一部施行された。積載効率の向上や荷待ち、荷役時間の短縮……こうした効率化を物流事業者だけでなく、荷主にも義務として課す法律だ。中でも年間9万トン以上の貨物を扱う事業者は「特定荷主」に指定される。
今年4月には同改正法が全面施行されたことを受け、特定荷主は10月末までに中長期的な改善計画を策定して国へ提出し、その実行責任者として物流統括管理者(Chief Logistics Officer、CLO)を選任せねばならない。法改正がもたらす影響を、流通経済大学の矢野裕児教授(専門は物流・ロジスティクス)に聞いた。

――物効法の意義はどこにあると考えますか。

荷主は物流事業者に配送を依頼する「発荷主」、その荷物を受け取る「着荷主」に分かれる。今回の法改正で特筆すべきは、この後者にも法的義務を課したことだ。例えば発荷主は省エネ法(2023年に改正法施行)でエネルギー使用の合理化を義務づけられるが、着荷主は「準荷主」という扱いで努力規定にとどまっていた。

この点から従来の改革と比べても踏み込んだ内容と評価できる。日本の企業間取引では、運賃を商品価格に含む「店着価格制」が一般的だ。つまり、着荷主は運送会社と契約関係を結ばない。金銭的なやり取りがないのだから、物流にかかるコストを意識したり、効率化を模索したりするインセンティブが生じ得なかった。

荷受けの現場では、届けに来たドライバーの長時間待機がよく発生する。ひどい時は、待った挙げ句に「受付時間を過ぎたので」と荷物を持ち帰らされる。仕分けや棚入れなどの付帯作業を無償で求められるケースも多い。こうした問題に対する着荷主の当事者意識は薄く、現状把握さえ満足にしてこなかった。

物流改革にトレードオフは必須

――特定荷主が物流の効率化を怠った場合、勧告や罰金(100万円以下)などのペナルティーがあります。実効性の担保になるでしょうか。

正直なところ未知数だ。法令上の義務は中長期的な計画を策定し、進捗状況を定期的に報告すること。その取り組み具合が不十分だとしても、どこまで国が摘発できるのか。最近は国土交通省のトラックGメンが、公正取引委員会との連携を進めている。規制強化の是非に議論はあるが、監視体制の構築は必要だろう。

ただ仮に罰金を科されたとしても、特定荷主の当該社は事業規模が比較的大きく、痛手ではない。結局のところ、(改革が進むかは)各社の姿勢に委ねられるのではないか。

法改正によって命題は突きつけられた。物流に対する社会的な意識が高まっていることは間違いなく、この機会を逃すべきではない。

というのも、物流の効率化が一企業、あるいは一部門で完結することは絶対にあり得ないからだ。取引先や他部署との調整が不可欠となる。「全体の最適化」は理想ではあるが、実現するのは難しい。調達部が在庫を抑制しようとすれば、小口多頻度の輸送が必要となる。営業部が顧客に早く届けたいと思えば、朝一にトラックが殺到する。

こうした要求が物流に負担を掛けるのは明らかだ。何かを優先すれば、ほかの何かを諦めざるを得ない。トレードオフが発生することを、これからの荷主企業は正しく理解しなければならない。

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