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――物効法の意義はどこにあると考えますか。
荷主は物流事業者に配送を依頼する「発荷主」、その荷物を受け取る「着荷主」に分かれる。今回の法改正で特筆すべきは、この後者にも法的義務を課したことだ。例えば発荷主は省エネ法(2023年に改正法施行)でエネルギー使用の合理化を義務づけられるが、着荷主は「準荷主」という扱いで努力規定にとどまっていた。
この点から従来の改革と比べても踏み込んだ内容と評価できる。日本の企業間取引では、運賃を商品価格に含む「店着価格制」が一般的だ。つまり、着荷主は運送会社と契約関係を結ばない。金銭的なやり取りがないのだから、物流にかかるコストを意識したり、効率化を模索したりするインセンティブが生じ得なかった。
荷受けの現場では、届けに来たドライバーの長時間待機がよく発生する。ひどい時は、待った挙げ句に「受付時間を過ぎたので」と荷物を持ち帰らされる。仕分けや棚入れなどの付帯作業を無償で求められるケースも多い。こうした問題に対する着荷主の当事者意識は薄く、現状把握さえ満足にしてこなかった。
物流改革にトレードオフは必須
――特定荷主が物流の効率化を怠った場合、勧告や罰金(100万円以下)などのペナルティーがあります。実効性の担保になるでしょうか。
正直なところ未知数だ。法令上の義務は中長期的な計画を策定し、進捗状況を定期的に報告すること。その取り組み具合が不十分だとしても、どこまで国が摘発できるのか。最近は国土交通省のトラックGメンが、公正取引委員会との連携を進めている。規制強化の是非に議論はあるが、監視体制の構築は必要だろう。
ただ仮に罰金を科されたとしても、特定荷主の当該社は事業規模が比較的大きく、痛手ではない。結局のところ、(改革が進むかは)各社の姿勢に委ねられるのではないか。
法改正によって命題は突きつけられた。物流に対する社会的な意識が高まっていることは間違いなく、この機会を逃すべきではない。
というのも、物流の効率化が一企業、あるいは一部門で完結することは絶対にあり得ないからだ。取引先や他部署との調整が不可欠となる。「全体の最適化」は理想ではあるが、実現するのは難しい。調達部が在庫を抑制しようとすれば、小口多頻度の輸送が必要となる。営業部が顧客に早く届けたいと思えば、朝一にトラックが殺到する。
こうした要求が物流に負担を掛けるのは明らかだ。何かを優先すれば、ほかの何かを諦めざるを得ない。トレードオフが発生することを、これからの荷主企業は正しく理解しなければならない。
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