物流危機、3月末に迫り来る「荷物を運べない現実」 「これ以上は残業できない、もう走れない」
業界では、夏場、年末の12月、期末の3月が繁忙期に当たる。運送会社は繁忙期に備え、普段からドライバーの労働時間を調整する必要がある。そこで、仕事の見込み時間や納品時間、荷物を積まずに拠点へ戻る回送の距離などを細かく確認する会社が増えている。
トランコムも、これまでは運送会社に「13時から積み込みできます」などと伝えればよかったが、実際に作業が始まっているか、荷待ち(待機)が発生していないかなど、運送会社が詳細を確認するようになったという。
ただし、こうした事情を踏まえ、荷主側が納期を調整し、待ち時間が発生しないように工夫するなど仕事の条件を見直しているかというと、そう簡単ではない。荷主にも当然、顧客がいる。リードタイムを変えられないといった理由があるのだ。
「実際には、荷主の都合や荷物の条件に合った運送会社を探すことのほうが多い。運送会社にも譲れない条件があるので、うまく交渉し、調整していくのがわれわれの仕事でもある」(兼田センター長)
今年の3月期末、荷物は運べるのか?
とはいえ、荷主側がいつまでも、こうした対応を続けられるかはわからない。運送会社は必ずしも、厳密な計算の下で動いているわけではないからだ。トランコムの東海エリアマネージャー・上野剛史氏は、今後トラックの空車情報がさらに減る可能性を指摘する。
「運送会社は長距離から近場の運行にシフトしているが、顧客(荷主)の構造まですぐに変えられるわけではない。これから残業時間の調整を迫られる会社もあるのではないか」(上野氏)
規制が適用されて1年目ということもあり、ドライバーの残業をうまく調整できず、1月から3月末にかけて「これ以上は残業できず、走れない」といった状況に陥る会社もでてきそうだ。
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