物流危機、3月末に迫り来る「荷物を運べない現実」 「これ以上は残業できない、もう走れない」

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もう1つの焦点は運賃だ。前述のように、業界は残業規制による人手不足、人件費の増加が課題だ。加えて車両の購入費、燃料費など、ほぼすべてのコストが上昇し、これまで通りの運賃では利益を確保しにくくなっている。

しかし、2024年は運賃交渉がうまく進んだとは言いがたい年だった。消費の低迷で荷物が少ない状態が続き、宅配業者の間で価格競争が勃発。倉庫での保管から配送まで手がける3PL(物流の一括受託)業者まで波及した。コスト増を吸収できず、大幅減益決算や業績見通しの下方修正が相次いだ。

2024年問題を機に価格転嫁を進め、運送会社が適正な利益を確保できるようにする。ドライバーの待遇を改善し、若い人材に入ってもらう。そんな業界の狙いは、2025年に持ち越しになってしまった。

運べなくなる事態を回避するには?

大手企業の荷主を中心に、価格転嫁を許容する動きは見られるものの、運送会社が希望する運賃を満額もらえるケースはまだ少ない。

運送会社の苦しい事情について、荷主側の十分な理解は得られていないのが実情だ。業界幹部は「業界は閑散期のほうが長く、現場の情報が伝わるまでに時間もかかる。実際に運べなくなる事態が起きないと、荷主も動かない印象を持っている」と語る。

荷物が運べない危機を回避するには、ドライバーなどの賃金や労働条件を改善し担い手を増やすこと。効率化のために投資を進める必要もある。荷主企業の歩み寄りは必須だ。

インフラ崩壊の危機を乗り越えられるか。2025年も正念場が続く。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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