長時間労働が問題となっているトラックドライバーの労働環境改善へ向けた働き方改革法が施行されてから4月で1年。しかし、労働時間が減ることは、労働環境の改善にはつながっていないようだ。問題の1つは、サービスエリアなどに入浴・シャワー環境が整っていないこと。その理由について自身もトラックドライバーとして働いた経験を持つ橋本愛喜氏がリポートする。
駐車場を占領する割には金を落とさない
方々に取材をしていると、サービスエリアやパーキングエリア(SAPA)がシャワーや大浴場を簡単に増やせないのには、さまざまな事情があることも痛感する。
1つは「収益面の問題」だ。
高速道路調査会などの調査によると、トラックによる8時間以上の長時間駐車が占める割合は、台数ベースでは約10%であるのに対して、時間占有率では約60%を占めている。つまり、SAPAが混雑する原因は大型車の長時間駐車の影響だといえるのだが、トラックドライバーは、その割に金を落とさないのだ。
一般車(普通車)の場合、レジャーや帰省などが目的のため、SAPAは非日常的な空間。SAPA限定グルメや土産がよく売れる。
一方、トラックドライバーたちにとってSAPAは日常的な場所で、“生活インフラ”として使用している。そのため、土産を買うことはおろか、施設内の食堂すら「高いから」と頻繁には利用せず、コンビニ飯や車内自炊をしている人が多い。
「十分な給料をもらえていれば毎日各地の名物を食べたいところですが、1000円以上するような定食をSAPAを利用するたびに食べられるような余裕は多くのドライバーにはないと思いますよ」
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