AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘

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トランコムのオフィス。1人2台の電話を駆使し、マッチングを行っている(撮影:永谷正樹)

名古屋市東区にあるオフィスビルの14階。朝から60人ほどのスタッフがパソコン画面に向き合い、デスクに置かれた2台の電話を駆使して荷主企業と運送会社に応対していた。

「〇〇方面の荷物が出る予定はないですか?」「来週愛知に運行する予定はありますか?」など、オフィス内にスタッフの声が響き渡る。

ここは物流企業トランコムの名古屋情報センターで、「アジャスター」と呼ばれる社員たちが働く。彼らは荷主と運送会社の間に立ち、荷物情報と空きトラックの情報を人力でマッチングする「求貨求車」サービスを提供している。

現在、物流業界は2024年問題に直面している。ドライバーに残業規制が課され、拘束時間や休憩時間などのルールも強化された。運送会社の収入は減る可能性がある。荷主企業も物流コストの増加は必至。双方にとって運送の効率化が急務になっている。

トランコムは全国1万3000社の運送会社と連携し、トラックの積載率を底上げすべく日々マッチングを進める。1日あたりの成約件数は約6000件だ。アジャスターの実務から見えてくる物流の現場、そして2024年問題の現実とは。

人力だからできること

アジャスターがマッチングするのは、主にこのような事例だ。運送会社が岡山から愛知へ運ぶ荷物を受注し、トラックを運行するが、荷物を下ろした後、岡山へ持ち帰る「帰り荷」がない。空車ではもったいないので、トランコムのアジャスターに荷物を探してもらう、という流れだ。

アジャスターは文字どおり、さまざまな調整を行う。運送会社にヒヤリングするのは、トラックが荷物を下ろし、空車になる場所、どの方面に荷物を運びたいか、いつまで待てるかなど。車両の設備も把握し条件に合う荷物を探していく。

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