AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘

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過去の運行データやリストを参考に荷主企業へ電話をかけ、「明日運ぶ荷物はありませんか?」と営業をかける。荷物があれば何時に積み、どこで何時に下ろすのか。重量や梱包の状態を確認する。そして「この荷物とこのトラックが近い」と当てはめていくわけだ。

これらを荷主企業の配車担当者が再現するのは極めて難しい。日頃から取引関係のある業者に電話をかけ、運行できるかどうか確認する。すぐに返事をもらえることもあれば、待たされることもある。

トラックを確保できなければ次の会社、また次の会社へと電話し、結局、付き合いの薄い業者から「通常より高い運賃なら受ける」と言われてしまうこともある。

この点、トランコムは1万3000のパートナー運送会社を抱える。現在、国内の運送事業者数は約6万3000社で、5社に1社はトランコムと提携している。着実にトラックを押さえられるのは強みだ。結果的に運賃を安く抑えられるケースもある。

「混載」「におい」にも配慮

運送会社も同様だ。業界は営業拠点を持たない小規模事業者が多い。トランコムは全国51のセンターに約600人のアジャスターがいる。どの方面へ運行しても、帰りの荷物を確保してもらえることがメリットになる。

マッチングの中には、より高度な配車や提案を求められる場面もある。そのひとつは1台のトラックに複数の荷主の荷物を積む「混載」だ。スペースを確保できるか。荷下ろし時間を守れるか。後に下ろす荷物は何時まで待ってもらえるかなど入念に確認する。においが移る荷物の組み合わせを避けるなど、人力ならではの配慮も必要だ。

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