ロシアーウクライナ戦争が起こった歴史的な必然 「東欧を制する者が世界を制する」100年前の格言
マッキンダーの唱える「東欧に独立国家群が誕生する地政学的意義」は、大きく分けて2つありました。
まず1つ目が、ドイツのハートランド支配を防げることです。マッキンダーにとって、この戦争で最も注目に値したのは、ドイツがロシアの一部を一時的に占領したことでした。
この戦争でドイツとロシアは敵対関係にありましたが、ロシア国内は革命で混乱しており、ドイツはこれに便乗してロシアを打ち倒しました。そして講和条件として、現代のウクライナからエストニアにかけての地域を割譲させたのです。
東欧を制する者は世界を制する
このときのドイツは、広大な領土を獲得した上に、ロシアを従属させるという、ユーラシア大陸の覇者のような状態でした。マッキンダーは、「もしこの時点でドイツが戦争を終わらせていれば、時間をかけてハートランドの膨大な資源を大艦隊の創設に動員し、イギリスやアメリカなどの島嶼地帯を征服する力を得ていただろう」と振り返りました。
結果的に負けたとはいえ、マッキンダーにとってドイツが一時的にでもハートランド支配を確立したことは大きな脅威に映りました。そこで、二度とドイツがハートランドを支配できないよう、東欧に独立国家群を設けることを訴えたのです。東欧がドイツに取られなければ、ドイツはその東のハートランドに進むことはできません。
いわば東欧には、ドイツの東進を止める防壁としての役割が期待されたのです。マッキンダーは、東欧の戦略的重要性を謳った こんな格言を残しました。
ハートランドを制する者は世界島を制する。
世界島を制する者は世界を制する。
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