日本でも、2022年4月にメタリアルとオルツが故人にも対応したAIパーソン生成サービス「メタリユニア」の開発を発表した。同年のうちにデモムービーまで披露し、ローンチ直前と思われたが、同年サービス開始の予定がいまだ表立った動きが出ないままとなっている。
一方、中国や韓国ではすでに実働しているサービスもある。2024年3月に南京市で創業したITベンチャー・超級頭脳(超级头脑、Super Brain)はスマホの画面越しに対話が可能なAI故人サービスを開発し、少なくとも1000件を超えるアバターを生み出している。
しかし、公式サイトの「業界動向(行业动态)」コーナーにリンクされた報道機関からの取材記事に目を通すと、多くは倫理的な課題の指摘が末尾に添えられている。他の実働サービスの周辺を探っても、同様の警戒心をまだ拭いきれずにいる様子だ。
故人の画像や音声、SNSの投稿などからアバターを作り出す技術は日進月歩で進化を遂げている。にもかかわらず、世間と提供元を隔てるこの壁は高くて分厚いままだ。決定的な風穴を空けるような“発明”は、世界中を観察してもまだ見つけられない。
2040年を見据える
そうしたなかで、アルファクラブ武蔵野はなぜあえてAI故人サービスに乗り出したのだろうか? 同社で取締役を務め、Revibot事業を立ち上げた小川誠氏はこう語る。
「日本人の死亡者数がピークを迎える2040年を見据えて動いています。その頃に必要とされるサービスになればと」
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、日本人の年間死亡者数は2040年の166万5000人まで上がり続けて、後は漸減していく(※死亡中位の推計)。
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