最初に言っておくと、私はNHKが大好きで日々NHKばかり熱心に見ている「NHK党」なのだが、さらにいえば「朝ドラ党」であり、大河ドラマに関しては『いだてん』(2019年)以来見ていない。
理由は、昭和のうちに培われたいわゆる「大河的なるもの」が嫌い、いや苦手だからだ。
戦(いくさ)や合戦(かっせん)を舞台として、眉間にシワを寄せた男と男が命を賭けて戦いまくり、画面が刀と血と炎と馬でいっぱいになるという私の「脳内大河」が、視聴意欲を未だに減退させる(最近の大河には、かなり変化が見られることを、薄々勘付いてはいるのだが)。
「大河的なるもの」とは違う方向性の『べらぼう』
しかし『いだてん』のときも、そうだったが、今回の『べらぼう』には、「大河的なるもの」とはまったく異なる方向性を感じた。まずもって、公式サイトの触れ込みからして、ノリが違う。
――日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き 時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物 “蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯。笑いと涙と謎に満ちた“痛快”エンターテインメントドラマ!(改行省略)
「ポップカルチャー」「笑いと涙と謎」と来たもんだ。さすがにちょっと軽すぎるきらいもあるが、少なくとも、重々しく陰鬱な私の「脳内大河」とは、かなり違いそうだ。
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