江戸のメディア王・蔦重を駆り立てていた原動力 NHK大河「べらぼう」主人公に学ぶ仕事のコツ
自分の居場所を模索し続けてきた蔦重
蔦重は養子です。あえて言葉を選ばずに言えば、両親に置き去りにされた子どもです。幼くして後ろ盾を失ったのち、厳しい環境の中で、自分の居場所を模索し続けてきた人なのです。
養子先の喜多川家では可愛がられてはいたかもしれませんが、布団の上げ下げから掃除、接客と、何でもやらされる下働きの日々。さらに、義兄は店主として店を任されているなか、自分はただ軒先の小さなスペースを間借りさせてもらうだけ……。
どんなに仲のよい家族だったとしても、「養子である自分」と「実子である兄」との扱いの違いを、感じなかったわけはありません。育ててくれていることへの感謝はあるにせよ、日々その歴然とした格差を見せつけられ、悔しさをにじませていたであろうことは、想像に難くないはずです。
「このままでは終われない」
「自分を置いていった両親に、自分の存在を知ってほしい」
そんな悔しさがいつのまにか、蔦重の心に火を宿していたのです。辛い生い立ちは、のちに類まれなる立身出世を果たすことになる、蔦重のモチベーションの1つとなっていきました。
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