サイゼ「価格据え置きで営業最高益」に見る大変化 逆張り戦略でファストカジュアル化が成功か?

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空間的にも「低価格路線」に「選択と集中」している

「ファミレス」から「ファストカジュアル」へのサイゼリヤの進化は、現状うまくいっている。

サイゼリヤ
(筆者撮影)

ちなみに個人的には、サイゼリヤの好調を支えているのは、メニューの変化等の大きな改革だけでなく、店舗レベルでの細かい配慮も効いてきているからだと思う。

というのも、サイゼの店内を見ていると「低価格を求める人」に最適化された空間の工夫があるからだ。

例えば、その顕著な例が注文システムだろう。

2025年現在、サイゼリヤでは基本的にモバイルオーダーが取られているが、そのシステムは、商品の番号を入力するだけで、ボタンも大きく操作がしやすい。

今までの紙でのオーダーの良さを残しつつ、幅広い世代が直感的に理解できるようなUIになっているのだ。飲食店でのセルフオーダーは意見が分かれる施策だが、サイゼのやり方だと、デジタル機器に使い慣れていない人でも、簡単に使うことができる。

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例えば所得が少ない単身高齢者や、所得が低くデジタル機器を普段からそこまでは利用しない層の人々にとっても、ストレス無く注文ができる。

サイゼリヤの「ファストカジュアル化」が完全に成功するかどうかは、予断を許さない。

けれど、「低価格を求める人」に「選択と集中」するサイゼリヤは、今後の日本の飲食業界の中で確たる位置を占める可能性が高いと思う。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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