サイゼ「価格据え置きで営業最高益」に見る大変化 逆張り戦略でファストカジュアル化が成功か?

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というのも、決算の内訳をみていくと、その利益の多くは、これまでと同じように海外事業によるものだからだ。サイゼリヤのアジアでの営業利益は32億円で、全体利益の約82%。これは国内利益の5億円と比べて、6倍近い数字である。

ここ数年、サイゼの「国外で稼ぐ」傾向は顕著で、一部では「もはやサイゼの国内事業は福祉」なんて言われたりもしていた。けれど、先ほども見た通り、国内事業も着実に業績を伸ばしつつある。

加えて、先ほども書いた通り、現在サイゼリヤは国内店舗を2000店舗に増加させようとしている。

サイゼは徹底した効率化により、独自のビジネスモデルを発展、確立してきた企業だ。ファストカジュアル化によって、1店舗当たりの利益が少なくても、店舗数が増えることでしっかり利益が出る算段を立てているのだろう。

当たり前だが、「福祉」ではないことは確かである。

サイゼリヤを取り巻く厳しいファミレス事情

サイゼリヤがこうした「ファストカジュアル化」に舵を切ったのは、昨今のファミレス業界を取り巻く環境がある。

日本ソフト販売株式会社が発表している統計データによると、2023年7月〜2024年7月にかけて、ファミレスの数は1.5%減少。前年は3.2%減少、一昨年は1.8%減少しており、年々少しずつ数が減る傾向にある。

店舗数上位であるガスト・サイゼリヤ・ジョイフル・ココスの店舗数はすべて減少しており、数の面で見れば「ファミレス」という業態自体が天井に達していることがわかる。

ファミレス国内店舗数・推移のグラフ

こうした背景には、いわゆる「カテゴリーキラー」といわれる専門店のチェーンレストランが多く誕生し、それらの質も向上していることがあるだろう。

ニーズが複雑化・多様化している中で、「なんでもある」ファミレスはどこか中途半端な存在になり、ニーズに応えられなくなっているのではないか。いわば、ターゲットがあやふやになっているのだ。

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