ただ、もう少し深読みしますと、大手の機関投資家の思惑が窺えます。急落の裏側では、機関投資家が売っているのではないかと感じるのです。特に海外の機関投資家は、円安ということも相まって、ここ数年日本株を買い続けていました。日本ペイントもその一つです。
しかし今回の株価急落によって、機関投資家自身が損失を抱えてしまったため、この先のアジアでの業績懸念もあり、利が乗っている銘柄を売り始めたのではないかとも考えられます。
供給過剰に苦しむ中国経済
最後に、中国経済の動向について考えてみましょう。中国政府は、2015年の成長目標を7%に設定していますが、このままでは達成はほぼ不可能だと考えられています。予想以上に減速のスピードが速いからです。また、電力使用量や輸出入の数字から見れば、年前半の7.0%という公表された成長率にも疑問を呈している専門家もいます。中国経済の減速は、今後、日本を含む周辺国に悪影響が広がってくる可能性もあります。
そこで、大方の予想では、今後、中国政府がさらなる金融緩和や財政出動をするだろうと考えられています。中国政府は財政的な余力がまだまだありますから、このままの状況が続けば、景気対策を出動する可能性は高いと考えられます。問題は、それによってどこまで景気を底支えできるかということと、その後の影響です。
一方、中国政府としてはIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)の構成通貨(現状は、米ドル、英ポンド、ユーロ、円)のひとつに選ばれるかどうかという、人民元が国際的に信任されるかどうかというとても微妙な時期ということもあり、露骨な市場介入はできない状況にあり、どうしても金融や財政政策に頼らざるをえないのです。
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