バブル崩壊以降、経営者たちは株主に目を向け始めた
もともと日本の経営者たちは、ROEを軽視していたわけではありませんでしたが、1980年代のバブル期までは、日本企業の株式の多くは、取引のある会社や銀行が持っていましたので、いわば「仲間同士」が株式を持ち合っている状況でした。いわゆる「株式持合構造」です。みんな旧知の仲ですから、お互いの経営についてうるさいことは言いません。
その結果、日本企業は内部志向が強まり、当然ですが、経営者たちは株主への還元についてあまり考えておらず、ガバナンスが効いていない会社も少なくありませんでした。そういった背景から、「会社は株主のことを考えていない」と長い間指摘され続けてきたのです。
ところが、1990年代後半あたりから状況が変わり始めました。バブル崩壊によって日本企業、とくに銀行が日本株を手放し、外国人投資家が受け皿となったのです。
こうして外国人投資家の保有比率が高まったことで、株主の発言力が増していきました。株主から会社に向けて「もっと収益率を上げてほしい」「積極的に投資をして、利益を追求してほしい」「ガバナンスを強化すべきだ」などといった要求が強まってきたのです。そこで企業は、ようやく株主に目を向け始めました。
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