金融庁は、欧米諸国の機関投資家が投資先の企業との間でどのような対話をし、それを通じて企業に対してどのような働きかけを行っているかをリサーチして「日本版」としてまとめあげ、2014年2月27日に公表しました。
これは7つの原則によって成り立っており、機関投資家が投資先の企業と情報を共有することで、投資先の企業の「持続的な成長」を第一の目的として対話(エンゲージメント)するといった内容が盛り込まれています。
「コーポレートガバナンス・コード」は、企業統治指針とも呼ばれるもので、2015年6月1日以降に適用されるようになった新しいルールです。こちらは、上場企業の行動原則を定めたものとなっています。たとえば、上場企業は、ガバナンスを強化するとともに、財務内容や経営成績、課題、戦略、リスクなどといった情報を適切に開示していかなければならない、などのルールが5つ定められています。
2つのコードで投資家と企業の双方にプレッシャー
企業の持続的な成長や利益効率の向上を目指すために、機関投資家サイドにはスチュワードシップ・コードを、企業サイドにはコーポレートガバナンス・コードを定めて双方にプレッシャーをかけることで、企業の収益を上げていこう、というわけです。
さらに、世界最大手の議決権行使助言会社ISS(Institutional Shareholder Services)も大胆な方針を打ち出しました。2015年版「議決権助言方針」の中で、次のような方針を導入したのです。
「過去5期平均のROEが5%を下回り、かつ改善傾向にない場合、経営トップの再任に反対する」
つまり、過去5期の平均ROEが5%を下回れば、社長を解任できるようプレッシャーをかける、というわけです。多くの上場企業が、次々とROE目標を定め始めたのは、こうした複数の大きな動きが背景にあったからだと考えられます。
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