「ゲーセン」大激変で中年ゲーマーが排除される訳 中年ゲーマーは嫌?「IPとクレーンゲームの店」に

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その客層は異なれど、若者が集まる場所としてゲームセンターは機能していた。そして、それは、あまりたくさんお金を使うことなくいられる場所だったからかもしれない。

これは私自身の経験だが、「音ゲー」は100円でそこそこ長く遊べて、ゲーセンでのたむろを引き起こしていたようにも感じる。ある種の「コミュニケーションの場」だったことは、確かに実感としてある。

一方、現在の「クレーンゲーム」が主体となったゲーセンはどちらかといえば、より「消費の場所」という意味合いが強くなってきつつあるのではないか。

昔ながらの格闘ゲームやアーケードゲームが主体の中小規模の店舗が減り、クレーンゲームを中心とする大型店への流れは、こうした「コミュニケーション」から「消費」へ、という流れを表しているのかもしれない。

時代とともに変わりゆくゲーセンの空間

もちろん、この2つは完全な対立項ではないし、あまりにも単純化しすぎた図式かもしれない。ただ、現在のゲームセンターの状況を見ていると、どことなくこうした風景があるのではないか、と感じられるのだ。

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もちろん、こうした変化は、否定すべきことではない。あらゆる種類のものの値上げや、電気代の高騰を含め、時代状況に対応した結果だからだ。

必然的な進化だといえるし、そもそもこうした変化が受け入れられる背景には、こうしたゲームセンターの姿が消費者に受け入れられているからでもある。だから、ゲームセンターの変化は我々自身の変化でもある。

逆に言えば、こうしたクレーンゲーム化するゲームセンターが今後も受け入れられ続けるかどうかは、それが消費者のニーズに応えられ続けるかにもかかっている、ということだ。

「なんだかお金ばっかり使っちゃってゲームセンター、面白くない」となれば消費者が離れるのは早いだろう。そうなったとき、ゲームセンターの空間は、また別の形を模索するかもしれない。良い悪いではなく、商売の在り方は常に変化していくものであり、消費者に受け入れられないビジネスは、自然と淘汰されていくのだ。

谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家

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たにがしら・かずき / Kazuki Tanigashira

都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。「ゲンロン 佐々木敦 批評再生塾 第三期」に参加し宇川直宏賞を受賞。著作に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』 (集英社新書)、『ブックオフから考える 「なんとなく」から生まれた文化のインフラ』(青弓社)がある。テレビ・動画出演は『ABEMA Prime』『めざまし8』など。

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