その際、IPコンテンツを利用した「推し活」とのコラボレーションは有効な手段だ。すでに知られているが、「推し活」は購買行動を伴うことが知られており、ある調査では、推し活をしている人の55%が「グッズを買う」と答えている。
実際、GiGOは「推し活センター」としての機能を進めていて、12月には、福岡の天神で国内5店舗目となる推し活専門ショップの「fanfancy+ with GiGO」をGiGO内に設置した。これ以外にもコラボカフェを併設した店舗などもあり、「推し活」を意識したさまざまな施策を展開している。
「コミュニケーション」から「消費」の場所へ?
GiGOの方向性は、ゲームセンターの「推し活」化、「クレーンゲーム化」だが、特に後者の「クレーンゲーム」化は、業界全体でも起こってきている。
例えば、パチンコ大手のマルハンは、最近自社のパチンコ店の跡地にクレーンゲーム専門店である「ME TOKYO」を相次いでオープンさせている。異業種から参入するほど、魅力のある業態だということだろう。
いずれにしても、「欲しい商品目当てで行く」という目的を持った行動でゲームセンターに行くことが増えているのは確かだ。
その意味では、ゲームセンターの空間の意味合いも変わってきたといえるかもしれない。
前述した『ゲームセンター文化論』の中で加藤裕康は、ゲーセンを介して、そこに集う人々の間にコミュニケーションが生まれる様子を描いた。若者が集い、たむろする場所としてゲーセンがあったのだ。
そこは、時代とともにさまざまな人を受け入れてきた。例えば、1990年代以降、ゲームセンターは「アミューズメント施設」へと舵を切っていて、プリクラなども増えている(先立つ1984年に風営法が改正されたことが大きい)。
すると、そこにはプリクラを撮るために女子高生が集まる。また、1990年代から、いわゆる「音ゲー」も全盛期を迎え始め、凄腕の「音ゲーマー」がプレイする周りには、見物客が多く集まるようになった。
ある種のコミュニケーションがそこから生まれ、「そこに行くだけでなんだか楽しい」場所として、ゲームセンターはあったのだ。
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