2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?

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競馬である。

だいぶ前の話になるが、JRA(日本中央競馬会)は2024年9月23日の定例記者会見で、暑熱対策の一環としての札幌、函館の「北海道2場同時開催」は困難だと説明した。

JRAによると、同時開催となると出走馬房が2000~3000程度必要の見込みであり、現在は1472馬房しかなく、別途、大規模な施設が必要だという。一方、新たな調教施設をつくるのは大規模な投資、土地の確保の観点から現実的ではないし、牧場等の外厩から直接レースに出走するのは公正競馬、防疫、情報確保の面から厳しいと説明した。

驚いた。これらの論点は私が強く主張してきたことで(この連載で提言してきた)、まさか、この連載をJRAの方々も読んで下さっているのか!?と色めき立ったが、よく考えると、この提案は、ほぼ同じものを矢作芳人調教師もさまざまな場で発言しており、これに対応したものであることに気づいた。

「なあんだ」と思ったが、あの矢作調教師とまったく同じ意見で、その意見について、JRAが真摯に記者会見で説明するほど、議論が土俵に乗っており、なおかつかなり重要で的確なものであるということは、「経済政策の提言では世間にメインストリームを大きく外れていると思われているが、オレも競馬の世界では王道の提言をしているんだ」と、複雑な喜びを嚙み締めた。

JRAとNAR「北海道共同運営」で「世界一の日本競馬」へ

1月ということで、再度、JRAに提言したい。難しいと思うが、日本競馬のブームはまもなく終わる。

そのときまでに、長期的な視点で大きな改革を実現してほしい。最大の論点は、JRAとNAR(地方競馬全国協会)の共同運営である。世界一の競馬施行団体として、世界中のホースマンがJRAとNARのレース、いやそんなまどろっこしい言葉を使わず済むように、「世界のホースマンの最大の目標は、日本のG1を勝つことだ」、と言われるようになることを目標としてほしい。

競走馬の質、JRA、NARの経営のパフォーマンスや質からいけば、それはなんら遠い目標でない。堂々と世界一を実現してほしい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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