2050年のシン・日本経済システムをデザインする 失われた40年回避のための「3つの政策」とは?

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したがって、新しい日本経済システムは、需要を喚起する仕組みではなく、限られた人材およびそのほかのリソースを有効に効率的に経済に動員する仕組みでなければならない。この方針が明確になれば、基本原則となる政策は、自ずから導かれる。

「今日本に必要な3つの政策」とは何か

第1に、強い通貨こそ国益である。1990年代半ばにアメリカのロバート・E・ルービン財務長官がこう宣言して、その後アメリカは実体経済、金融市場ともに世界を席巻した。現在の日本も同じである。国際的に人材をひきつけるのも、資源を購入するもの、強い円がその財源となる。また、世界の新興国の成長企業を買収するにも強い自国通貨こそが、その財務的支えとなる。

通貨が強くなる、ということは、自国市場の価値が上がる、ということである。弱い通貨の国の消費市場は規模で見れば小さい。リクルートホールディングスもトヨタ自動車も、その企業価値の大部分をアメリカ市場での収益モデルから得ている。

しかし、それでは、日本から人材も流出するばかりであるし、何より日本を本拠地にして、日本の文化、社会の価値観の下で生まれた世界的にユニークなモノを世界に高く売るというモデルが成立しなくなる。なぜなら、どの有力企業も国内市場を軽視して、海外のマーケットしか見ないから、日本で面白い製品開発をする意欲が低下し、国内には優秀な人材を置かなくなってしまう。

同時に、海外からも日本支社を重視する意味がなくなり、日本に一流の人材を派遣しなくなる。やはり、国内市場が高度で奥が深いことは、非常に重要である。「グローバル、グローバル」と叫ぶのは一見カッコいいように聞こえるが、そこでは、日本人や日本企業であることのメリットが生きず、デメリットにだけなってしまうから、不利なのだ。

アメリカと中国の企業が強いのは、何よりも自国市場が豊かなので、そこで切磋琢磨して出てきた製品、サービスが世界でも魅力的なものに自然になる流れができているのだ。

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