世界に誇る日本製品・サービスのほとんどは、日本市場で自然に生まれ、そのユニークさが世界で評価されているものばかりだ。漫画、アニメ、コンビニ。鮨だって牛丼だってラーメンだって、自分たちのために極めたものが世界で圧倒的な魅力があるのだ。したがって、まずは、国内市場。その価値を高めるための強い通貨である。
もう「無駄な消費刺激策」はやめよ
第2に、消費刺激策はやめる。刺激されなければ出てこない消費のために、限られたリソースを使うのはもったいない。お金をぐるぐる回す、無駄遣いでも経済にお金を流すため、というのは需要が極端に不足している1930年代の大恐慌のときにしか役に立たない。
いまは必要のないものを消費し、それを作って売るために貴重な労働力が投入され、次世代につながる製品開発、機械への投資を担当する人材が、政府の景気刺激策で無理やり出てきた消費のためにとられてしまう。これでは、生産力は上がらない。消費で消えてしまうのである。
大阪・関西万博や台湾のTSMCの熊本工場、ラピダスの千歳工場のために、人材も建機もすべて奪われ、ほかの必要な工場や住宅建設が後回しになっている。後者の2つはいいとして、万博は日本の成長機会を奪っているのだ。
財政の補正予算は、災害対応以外はすべてやめる。財政赤字も政府債務も、実はその水準は問題ない。大赤字でもかまわない。国は民間部門または海外から借金をして、何かに支出しているから、その支出が有益な資産として、バランスシートの逆側に計上されていれば問題はない。
しかし、政府資産で有益な資産はあるか。将来の成長を生み出しているような実物資産があるか。投資があるか。昭和40年まで赤字国債は発行されたことはなかった。建設国債(一応支出が投資に当たるもの)ですら存在しなかった。なぜなら、国内には金(カネ)が足りなかったからである。民間部門で企業が投資したい先が、それこそ山のようにあったからである。東海道新幹線は世界銀行の融資に頼った。しかし、それは日本経済の発展にきわめて有効だった。リソースは限られているのである。
今、民間にはふんだんに資金がある。例えば、みずほフィナンシャルグループはソフトバンクグループに何兆円でも貸す。それが経済的に有効な投資であれば資金はどこからでも出てくる。
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