日本の正月料理はなぜ、世界的にも「特殊」なのか 世界の人たちは新年に何を食べているのか

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行事についても、夜更かしして新年の瞬間をカウントダウンで迎えて花火が上がるくらい。1月1日よりも12月31日のニューイヤーズイブの方がやることが多く、「新しい年になったね!」でイベントは終了する。1月1日はのんびり過ごして1月2日から仕事や学校開始だ。

そう考えると、1月1日になった瞬間すべてが始まり、お節料理とお雑煮を食べて初詣に行ってお年玉を渡して……といった数々の正月行事がある日本文化は、正月の重要性がきわめて高い。なぜ日本の外において正月は重視されないのか。

そもそもほとんどの国には「正月」がない

そう、正月は日本および東アジアの一部の国の文化なのだ。もちろん1月1日はすべての国に訪れる。でもそれは「新年」であって「正月」ではないのだ。新年と正月、あまりに使い慣れた言葉で違いを意識することも少ないが、何が違うのか。改めて考えてみよう。

新年に対応する英語は「New Year(新しい年)」だが、正月に対応するぴったりな英語を私は知らない。正しい月を直訳したら「Authentic Month(真正の月)」あたりになりそうだが、そんな英語は聞いたことがない。結局、新年も正月もNew Yearという表現にまとめられるが、これは英語という言語において正月に該当するぴったりな概念がないからだろう。

正月というのは、神道に基づく行事とされる。考えてみれば、正月は仏教の寺ではなく神道の神社に行き、しめ縄飾りには神道を思わせる白い紙(しで)がついている。

しめ縄飾り
(写真:webweb/PIXTA)

神道は日本固有の信仰で、あらゆるものに神々が宿るとするが、その神の1つが歳神(としがみ)様。一家の守護神であり御先祖である。その歳神様をお迎えするのが正月。つまり正月は神道行事なのだ。

だから一連のしきたりめいたことがあるし、歳神様のためにお節料理を作り、お餅と共にお供えし、おさがりの餅で雑煮を作って神人共食の考え方のもと両端が細くなった祝い箸で食べる。神様が召し上がった食べ物には特別な力が宿ると考え、そのお下がりを人間がいただくことでご利益を得ようとするのだ。日本の正月は、「新しい年になったね!」よりずっと意味の深いものなのだ。

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