それにしても、家具や雑貨を扱うホームファニシングストアのイケアが、なぜレストランをはじめとした食品を扱う部門を持つのでしょうか。
レストランで集客、売り場に誘導する仕掛け
大きな集客要素を持つ期間限定のビュッフェを基準に見てみましょう。たとえば今回の「サーモンフェスティバル」の場合、ビュッフェ利用者に期間限定の300円クーポンを進呈しています。ウェブサイトではサーモン料理のレシピをはじめ、料理に最適なナイフやボウル、鍋などの台所用品類を紹介。レストランで使っている食材も1階のフードマーケットで購入できることを訴求しています。
レストランで使用している食器類はもちろん、家具やパーテーションのように使われている布地、照明は、イケア店内の食器売り場やリビング・ダイニングコーナー、カーテン売り場などに実際あるものです。つまり、食材、食器、家具など、レストラン内で気に入った物を店内で購入し、家で楽しむことができるわけです。
好評を博したカレー食べ放題の「オリエンタルビュッフェ」も、異国的なデザインの調度品を扱う限定コレクション「DOFTRIK/ドフトリーク オリエンタルコレクション」の販売を記念して開催されたもの。単に食事を提供するのではなく、食と絡めたライフスタイルを提案する。ここにイケアの独自の強みがあります。
10月から小型店導入、フードも取り扱い予定
イケアは2016年度の成長戦略として、事業形態を「マルチチャンネル・リテーラー」に拡大していく方針を発表しています。これまで同社では、大型店舗を中心としたビジネスを展開してきましたが、多様な流通チャンネルを持つ事業として、同社初となる小型店フォーマットを導入。10月に熊本市に1号店を出店する予定です。
従来のストアの10分の1サイズとなる新店は、福岡にある「IKEA福岡新宮」のサテライト。商品をディスプレイしたモデルルームのような位置づけで、事前に注文しておいた商品を店舗で受け取ったり、その場で気に入った商品を注文し、後日配送したりする仕組みです。将来的にはオンラインからでも注文できるようにするとのこと。いよいよイケアもネットビジネス事業を本格化させるようです。
ちなみにこの小型店フォーマットでも、フードを扱う予定になっています。立地面でも小回りの効く小型店で、どんな食品ブースが展開されるのか。イケアならではの切り口で、新しい食卓の提案が生まれそうです。
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