“お家騒動”に揺れる大塚家具と対照的な存在として語られるのが、スウェーデン生まれの「IKEA」(イケア)だ。標準で3万~4万平方メートルとされる巨大な店舗空間に家具を中心とした格安な商品が約1万点も並ぶというビジネスモデルで人気を博している。たった1店で年間100億円規模を売り上げるという。日本では船橋(千葉)、港北(神奈川)、神戸(兵庫)、鶴浜(大阪)などに8店を運営。2020年には12店舗体制の構築をもくろんでいるとされ、日本で順調な成長を見せている。
イケアをグローバルに見ると、売上高は約293億ユーロ(約4兆円)という巨大な企業だ。2014年9月にはイケア・ジャパンが従業員の7割にあたる2400人をパートから正社員に切り替えるなど、成長力向上に努めている。
「ファスト家具」として日本人の感覚を変容させたIKEA
イケアは家具を「嫁入り道具」から、「引っ越しやライフステージごとに買い換えるもの」に変容させた。「ファストフード」「ファストファッション」なる言葉があるが、さながら「ファスト家具」とでも呼んだらいいだろうか。もちろん、イケア自体は使い捨て家具のイメージを否定しているものの、格安のイメージから、実際にイケアで何度も買い換える人は少なくない。
ほかの家具小売業よりも鮮明に、人々の生活を想起させる展示手法。「スウェーデンの生活文化そのものを売る」ことを掲げるのがイケア流である。大塚家具の停滞に象徴されるように日本の家具市場が低迷する中で、イケアはなぜ存在感を増すことができたのか。あまり知られていないが、イケアはかつて1974年に日本へ進出し、1986年に撤退した歴史がある。つまり日本再挑戦に成功したというのが事実なのだ。それも含めてここで冷静にイケアの歴史と強みを分析しておこう。
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