そんな生活を送る中で、ようやく志望校が東京大学に定まったのは、高校3年生の秋ごろだったそうです。
「鉄緑会では、高2のころから周囲が大学受験の話を少しずつするようになっていきました。私はやりたいことがハッキリと決まっていなかったので、当時の自分の状況の中でできる、いちばんいい選択がどこなのかと考えた結果、東大を受けることだと思いました」
ゆゆきちさんは、高2の夏の時点で、鉄緑会の模試で数学が真ん中くらい、英語はかなり下のほうでした。高2の秋手前に勉強に本腰を入れ始めると、模試で平均よりも上を取れるようになりました。高3になってからはさらに成績が伸びて、鉄緑会でも上位15%に入ったため、河合塾や駿台などの外部模試でもA判定だった東京大学の理科1類を受けることに決めました。
「当時の生活は、1コマ3時間の授業が週に4コマで、塾がない日は授業を除いて5時間、休日には10時間の勉強をしていました」
共通テスト本番では国語で大きなミス
模試では最難関学部である理科3類でもD~C判定が出るなど、抜群の成績だったゆゆきちさん。しかし、共通テストでは少しつまずいて774/900点に終わりました。
「緊張や焦りもあり、国語で配点が大きい問題をいっぱい落としてしまいましたね。東大理1を狙うには、ちょっときつい点数だなと思いました。東大の2次は共通テストの配点がほかの大学に比べると少なくなり、より2次の出来が求められるので、挽回しようと思ったのですが、自分の中で『共通テストで(他の東大受験生に)負けた』という記憶がずっと残っていたのがつらかったです」
結局、東大受験本番ではある程度挽回はしたものの、共通テストの成績や「ほかの受験生に負けた」というメンタル面の不安定さが響き、合格最低点からわずか0.3点足りずに落ちてしまいました。
「あとでこのような僅差で落ちたとわかったときは、悔しかったですね。こんなことが、本当に自分に起こるんだ……と思って、現実味がありませんでした。でも、今思えば、1問1問に貪欲になる姿勢がなかったんだろうなと思います。そうした人として大事な姿勢を疎かにしていました」
東大に落ちたゆゆきちさんは、結局後期試験を受けて、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)の歯学部歯学科に入学することを決めました。
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