「かわいい」モードが復活、女性アイドル界のいま あいみょんも夢中!FRUITS ZIPPERの時代性と戦略
FRUITS ZIPPERと併せ、所属事務所も異なるこれら3組が歌う楽曲は、曲名もそうだがとにかく「かわいい」を強調する。
普段女性アイドルにそれほど関心のない人たちからすれば、ほとんど区別がつかないかもしれない。だが事実、そんな「かわいい」女性アイドルたちが、いまトレンドになりつつあるのだ。
「かわいい」の系譜~松田聖子からももちへ
「かわいい」は、昭和の頃からアイドルを形容する常套句でもあった。FRUITS ZIPPERなどを見て、まるで昭和のアイドルがよみがえったかのような思いにとらわれたひともいるはずだ。
そんな“かわいいアイドル”の元祖的存在として、松田聖子を外すわけにはいかない。
1980年デビューの松田聖子は、その伸びやかな歌声と豊かな表現力で「青い珊瑚礁」「夏の扉」「赤いスイートピー」など次々とヒット曲を放ち、一躍女性アイドルのトップの座に躍り出た。女性アイドルの歴史は、松田聖子以前と以後に分けられると言っても過言ではない。
その松田聖子には、「ぶりっ子」という形容もあった。「かわい子ぶりっ子」の短縮形である。同世代の少女や他の女性アイドルもこぞって真似をした「聖子ちゃんカット」の髪型の印象もあったが、話しかたや仕草など一挙一動に反応した世間がそれをネタにしたのが「ぶりっ子」というワードだった。
したがって、そこに込められているのは必ずしもポジティブな意味ではない。だが「かわいい」ことがアイドルの主たる武器であること、そのパワーを広く知らしめたのが松田聖子であることは間違いない。
それから時が過ぎ、2000年代以降くらいから、アイドルにおいても歌やダンスのスキルを求める流れがだんだん強くなった。「かわいい」ことに意味がなくなったわけではないが、やや影が薄くなっていったことは否めない。
そのなかで特別な輝きを見せたのが、「ももち」こと嗣永桃子だろう。
ハロー!プロジェクトに所属していた嗣永桃子は歌やダンスにも定評があり、Berryz工房、Buono!、カントリー・ガールズなどのメンバーとして活躍した。そしてその一方で、2010年代にはソロでバラエティ番組に多数出演するようになり、「ももち」の愛称で親しまれた。
その一挙手一投足が、アイドルの「かわいさ」をあらゆるかたちでアピールするもの。「ももち結び」と名づけたツインテールとメンバーカラーでもあるピンクのフリフリの衣装。そしていつも立っている小指。それは「ファンからの愛を受信するためのアンテナ」だ。
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