掃除機は効果ナシ「餅を詰まらせたとき」の対処法 2年間で高齢者661人が亡くなる、生存率は17%
餅が窒息を起こしやすいのは、粘り気があり、付着性が強い(くっつきやすい)からだ。
粘り気や付着性はゼリーの約100倍ともいわれている。これは餅米を構成するデンプンのほぼすべてが、アミロペクチンという成分で構成されているからだ。普通の米(うるち米)のデンプンは、アミロペクチン75%、アミロース25%で構成される。
アミロースは直鎖状の構造であるのに対し、アミロペクチンは枝分かれ構造を持ち、絡みやすい。このため、粘度や付着性が高まる。
さらに、雑煮などで温めた餅は、口に入れた後に温度が下がり硬くなるため、飲み込みにくくなる。飲み込む力が低下している高齢者ではなおさらだ。この結果、高齢者は餅をのどに詰まらせやすい。
余談だが、高齢者では十分に消化されなかった餅が大腸に留まって詰まり、腸閉塞(イレウス)を起こすこともあるようだ。2024年3月に香川大学の医師たちが『臨床症例報告誌』に発表している。
高齢者が餅を食べるときの注意点
では、どうすればいいのか。
筆者は、過去に誤嚥性肺炎と診断されていたり、食事中にむせることが多かったりする高齢者には、餅は避けるようにと指導している。嚥下機能が低下していて、餅を詰まらせて窒息を起こしやすいからだ。
どうしても食べたい場合は、
▼小さく切ること
▼ゆっくりよく噛むこと
▼水分を一緒に摂ること
▼周囲に人がいるときに食べること
を心がけてほしい。料理をする人は軟らかくして、とろみを加えるといい。このような対応をとることで、詰まらせて窒息するリスクは減らすことができる。
では、不幸にも窒息してしまった場合はどうすればいいのか。
■詰まらせたときに周りの人がまずすべきこと
窒息した人は苦しいため、のど元に両手をあて、息ができないことを訴えることが多い。顔面蒼白の苦悶症状で、のどが詰まっているので声が出せない。よだれを垂らすこともある。これを専門的には「チョークサイン」という。
のどを詰まらせて「チョークサイン」が出ている場合に、周囲がまずやるべきことは、呼吸ができているか否かを確認することだ。
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