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医療機関の競争が招く「不要な検査」という問題 MRI導入に着目し、「医師誘発需要」を定量化

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MRIスキャナーを操作する検査技師
MRIスキャナーを使用する様子(写真:PIXTA)

何らかの不安を抱えて病院を訪れた際に、医師から「念のために〇〇しておきましょうか」と言われたことはないだろうか。〇〇には、MRI(磁気共鳴断層撮影)やCT(コンピューター断層撮影)などの画像診断、薬の処方といった医療行為が含まれる。もちろん、患者がそれらの医療行為を望んでいる場合もある。

しかし、医師と患者の間には「情報の非対称性」と呼ばれる情報格差が存在する。医師が、診療報酬の点数を稼ぐために医療行為をする可能性も考えられるだろう。医療経済学では、医師の裁量的な行動によって誘発される需要を「医師誘発需要」と呼んでいる。

「誘発需要」は医療行為に限らず、情報の非対称性が存在する場面では頻繁に生じる。例えば、タクシーの運転手がわざと遠回りをする場合や、不動産業者が高額な物件を積極的に紹介する場合が挙げられる。これらは「供給者誘発需要」と呼ばれ、医師誘発需要はその一類型と位置づけられる。

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