
女性の就業率が2023年に73%を超えた。しかし、男女間の賃金格差は依然として大きい。正社員の所定内給与で比較すると、女性は男性の約75%の水準にとどまっている。
その主な要因として経済学者たちが注目しているのが、子育てが女性の賃金に与える影響、「子育てペナルティー」だ。これは、出産・育児を機に発生する賃金低下の度合いを指す。デンマークやスウェーデンなど男女平等が進んでいる北欧諸国でも、出産後10年間で女性の賃金は、産まなかった場合と比べて20〜30%低下する。日本の場合、この低下幅は44%と推定されており、先進国の中でもとくに大きい。
「子育てペナルティー」という学術用語に、育児をする人々を非難する意図はない。むしろ育児と仕事の両立を困難にする社会の仕組みを明らかにし、改善につなげることを目指している。育児休業制度や保育所の整備といった公的な取り組みは大きな役割を果たすだろう。同じく重要なのは、企業の役割だ。人事制度そのものが男女を平等に取り扱うものだったとしても、慣習や運用によって男女の賃金格差を生み出す可能性はある。
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