
2011年3月、東日本大震災に伴い発生した原発事故以来、電力に対する私たちの意識は大きく変わった。その後も、気候変動の中での猛暑や家庭の電気代負担増、データセンターや半導体工場の新設による電力需要増加の可能性など、電力に関する課題は多い。今後も省エネや節電に向けた取り組みは必須だろう。
需要側が応じる仕組み
省エネや節電を促す取り組みの1つに、「デマンドリスポンス(DR)」がある。供給状態に応じて需要側が消費パターンを変化させるよう促す、例えば需要のピーク時に電気料金を引き上げたり、節電に対して報酬を与えたりすることで、需要の調整を行う仕組みである。日本政府が22年に開始した節電ポイントも、その一例だ。
政策を設計する際には、すべての人に強制的に実施する「強制型」と、希望者のみが受けられる「選択型」のような方法が考えられる。前述の節電ポイントは選択型で、所定の手続きを行ってプログラムに参加する意思を表明しなくてはならない。一方、電気代補助金のような強制型の政策では、原則、手続きなしで補助金を受けられる。
どちらの方策にも一長一短がある。強制型の場合は、補助を必要としない人までもが対象になってしまう。選択型の場合は、物理的・心理的な手続きコストが発生するため、恩恵を受ける人が限定されてしまう可能性がある。
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