それでは狙いどおりアメリカの鉄鋼業が復活したのかと言えば、お生憎さまだが答えはノーだ。USスチール買収問題でも明らかなとおり、保護主義は産業を助けるよりもダメにしてしまうのだ。第1期トランプ政権は、鉄鋼輸入は「国家安全保障上の脅威」と見なし、国内メーカーの稼働率80%以上を確保するために関税をかけた。ところが製鋼業の稼働率は、2022年以降は80%ラインを割り込んでいる。
かくなる上は、USスチールが日本製鉄の買収計画を受け入れて、本格的な再建に乗り出すのが最善手のように見える。
とはいえバイデン大統領、トランプ次期大統領共に買収には否定的である。現在はCFIUS(対米外国投資委員会)が、日本製鉄の買収提案への審査を行っており、その締め切りはクリスマスイブ直前の12月23日だ。たぶんいいニュースにはならないだろうけどね。
「選挙モード」から「統治モード」に変身するトランプ氏
ところで8年前に比べると、「トランプ・ウォッチング」は格段に情報量が豊富になっていて、しかも作業が楽になっている。現在であれば、最高の判断材料は12月8日、NBC放送の”Meet the Press”でトランプさんが選挙後初のインタビューに応じていることだ。ありがたいことに、全編をユーチューブで見られてしまう(Full interview: Donald Trump details his plans for Day 1 and beyond in the White House) 。
これを通して見ると、今のトランプさんは意外と「まとも」なのである。いや、もちろんいつもどおりハチャメチャなやり取りもあるのだが、「選挙戦モード」から「統治モード」へと変身を急いでいることを確認できる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら