次期トランプ政権の関税政策をあまり気にするな 「20個のやるべきこと」での関税の取り扱いは?

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ここから先はお馴染みの競馬コーナーだ。

22日の日曜日は年の瀬の大一番、有馬記念(中山競馬場の第11レース、芝コース、距離2500メートル、G1)だ。何と言っても注目は、「日本馬の総大将」ドウデュース(1枠2番)の有馬記念連覇なるか、そして秋古馬三冠(秋の天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念)の達成なるか、である。

有馬記念の連覇は過去に4頭(スピードシンボリ、シンボリルドルフ、グラスワンダー、シンボリクリスエス)だけであり、あのディープインパクトでさえ果たしていない。そして秋古馬三冠は過去に2頭だけ(2000年のテイエムオペラオーと2004年のゼンノロブロイ)である。出走機会を絞る傾向がある昨今では、その値打ちはますます高い。

しかもドウデュースは、これが引退レースとなる。勝てば文字通りの「有終の美」だ。「有馬で勝ってそのまま引退」というケースは、オグリキャップ(1990年)の復活劇が有名だ。筆者はコロナ以前にはかなりの頻度で「有馬記念は中山競馬場で」見ていたので、「引退馬の優勝」を何度も目撃している。特に2013年、2着馬に8馬身差をつけてゴールしたオルフェーヴルは、馬券が大当たりだったこともあって忘れがたい思い出だ。

逆に2014年のジェンティルドンナ、2017年のキタサンブラックは、馬券を外した後に引退式を見ることになった。帰りは船橋法典駅への地下馬道が混み合うので、そうするしかないのであるが、いささかツラい経験であった。ただし、愛馬の勝利に感極まった北島サブちゃんが、自分で作詞した『キタサンブラックありがとう』を皆の前で熱唱したのは、今から思えばしみじみいいものを見させてもらったものである。

「物価高騰年」の有馬記念は本命に逆らって「あの馬」に

さて、今年の有馬記念はどうすべきか。オッズは低くなるけれども、ドウデュース(1枠2番)から買って年の瀬の大団円に期待を寄せるべきか。それともあえて逆らって、「高め」の馬券を追い求めるべきか。

筆者の本能は「逆らいたい!」と叫んでいる。いや、確かにドウデュースは強い。ダービーではのちの世界最強馬、イクイノックスに勝っている。鞍上の武豊騎手との息もピッタリで、そのことは11月のジャパンカップ、10月の秋の天皇賞勝利が雄弁に物語っている。

しかし年の瀬の大一番、日本列島が物価高騰に揺れた一年の締めくくりには、低い配当に甘んじるよりはリスクを選好したくなる。

こう考えたのだが、なんと執筆後、ドウデュースが右前肢ハ行のため、出走取り消しとなってしまった。幸い「逆らいたい!」という本能に従ったこともあり、ドウデュースが出走取り消しとなっても結論は変わらない。

ここで思い出すのは、有馬記念を連覇したシンボリクリスエスの雄姿だ。2003年、有馬記念終了後の中山競馬場、4歳で引退式を迎える「漆黒の帝王」に向かって、「まだやれるぞう!」と誰かが叫んでいた。ファンは「スターホースがもっと走るのを見たい」と願い、馬主さんは「怪我をする前に種牡馬として残したい」と考える。引退式のたびにそんな葛藤が走る。ドウデュースの馬主さんも苦渋の選択であったことと拝察する。

そのシンボリクリスエスが残した血筋がエピファネイアであり、その子が今年の有馬には2頭出走する。ダノンデサイル(1枠1番)とブローザホーン(2枠4番)だ。菊花賞が惜しいレースとなったダービー馬、ダノンデサイルに夢を託したい。

※ 次回の筆者は小幡績・慶應義塾大学院教授で、掲載は12月28日(土)の予定です(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
かんべえ(吉崎 達彦) 双日総合研究所チーフエコノミスト

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Kanbee

吉崎達彦/1960年富山県生まれ。双日総合研究所チーフエコノミスト。かんべえの名前で親しまれるエコノミストで、米国などを中心とする国際問題研究家でもある。一橋大学卒業後、日商岩井入社。米国ブルッキングス研究所客員研究員や、経済同友会代表幹事秘書・調査役などを経て2004年から現職。日銀第28代総裁の速水優氏の懐刀だったことは知る人ぞ知る事実。エコノミストとして活躍するかたわら、テレビ、ラジオのコメンテーターとしてわかりやすい解説には定評がある。また同氏のブログ「溜池通信」は連載500回を超え、米国や国際政治ウォッチャー、株式ストラテジストなども注目する人気サイト。著書に『溜池通信 いかにもこれが経済』(日本経済新聞出版社)、『アメリカの論理』(新潮新書)など多数。競馬での馬券戦略は、大枚をはたかず、本命から中穴を狙うのが基本。的中率はなかなかのもの。

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