2025年も似たようなことになるのかもしれない。アメリカ経済は2023年、2024年と2年連続で3%近い成長が続き、2025年には減速すると見られていたが、トランプさんの登場でまたも上振れしかねない。12月FOMCは予想どおりの利下げとなったが、来年の利下げは「年2回程度」とタカ派的な見通しとなり、為替市場はまたまたドル高傾向となっている。
次期トランプ政権が追加関税に踏み切ったらどうなる?
そして多くの人が誤解していると思しき点は、第1次トランプ政権の後を継いだバイデン政権は関税率をまったく引き下げていないのだ。そこで何が起きたかと言えば、2021年以降は輸入インフレが起きて、連邦政府の関税収入が増加したのである。
セントルイス連銀のグラフ を御覧じろ。トランプ第1期政権(2017~2020)よりもバイデン政権(2021~2024)の方が税収は多く、つまり国民負担も大きくなっている。関税が原因でインフレが起きるというなら、それはもうすでに始まっていると考えたほうがいい。
さらに言えば、関税収入はそれほど巨額ではない。確かに2017年以前に比べれば増加しているが、2023年の関税収入は3266億ドル。連邦政府歳入の4.6兆ドル(2023年度予算教書)やGDPの27.7兆ドル(2023年)に比べれば決して大きくはない。仮に第2期トランプ政権がさらなる追加関税に踏み切ったとしても、マクロ経済への影響は限定的であろう。
他方では、関税によるミクロ経済への影響は大ありだ。2018年、トランプ政権が通商拡大法232条を発動して鉄鋼・アルミ関税10%を導入して以来、世界の鉄鋼貿易は3.4億トンから2.7億トン(2023年)へと約2割減となっている。つまり関税によって、鉄鋼という商品の「地産地消化」が進んだわけである。
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