「取引先との間にトラブルが発生した→弱った」とか「部下が不正を働いているかもしれない→困った」など、事実に加えて、感情(大抵はネガティブなもの)がセットになっているのが、相談というコミュニケーションの特徴です。相談の現場では、感情と事実がごちゃまぜになりがちで、よくよく話を聞いてみると、大した問題ではなかった、ということが多々あります。
必要となる3つの心構え
以上を踏まえて、相談するほうの心構えとしては、以下の3つが挙げられるでしょう。
1.自分で判断しない
円滑な相談を妨げる要因のひとつに「こんなこと相談して、無能と思われないかな」「忙しそうだし、いちいち相談したら煙たがられるかな」という、身勝手な配慮があります。「相談することは恥ではないし、評価が下がることはない。むしろ、うるさいぐらいに一つひとつ話してくれるほうが助かる」と語る上司は少なくないのです。
2.相談は業務であり、立派なスキル
「相談」という行為をなめないことも大切。相談という言葉の軽いニュアンスに惑わされず、立派な業務として相談に挑みます。アポイントも「●●の件で相談したいので、13時から10分ほど時間をもらえますか?」などときちんと相手の予定を押さえるべきです。
3.事実と主観を切り分けて話す
トラブルに見舞われたり、ピンチに陥った状態では、さまざまな感情が頭の中を支配します。それをそのままぶつけてしまっては、「愚痴」になってしまいます。かといって、事実を淡々と報告するだけでは、正直、気持ちが晴れない。事実は事実として書類などにまとめておいて、そのうえで感情を思う存分、吐き出してから、アドバイスを仰ぐのがいいでしょう。
一方、「相談する力」よりもさらに重要なのが「相談される力」かもしれません。部下や同僚が、相談を持ちかけやすい空気を日頃から作っておき、相談されれば実際に丁寧に耳を傾け、権限の範囲でアドバイスをし、難しければ適切な相談相手を紹介する。これは口で言うほど簡単なことではありません。
中には、「『相談力』などということは考えたこともない。仕事で必要なら相談を受けるだけ」と胸を張るような人もいますが、そんなしゃくし定規な上司の下へ、部下が気持ちよく相談を持ち込めるかは、怪しいところです。
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