サントリー社長交代「同族経営回帰」が称賛のワケ 新浪社長には厳しい意見…「プロ経営者」はなぜ嫌われる?
ビ―ムはビームサントリーと名称を変更していたが、今年5月に「サントリーグローバルスピリッツ」に変更され、企業名から「ビーム」が外れた。
このタイミングで今回の新浪氏の社長退任は、これを節目としたとも言われている。
業績が低迷していたわけでもなければ、経営責任をとっての退任でもなく、勇退であったと言えるだろう。新浪氏に関しては、経営手腕、経営の成果という点では、批判される点はほとんどないようにも見える。
「よき同族経営」は続けられるのか
サントリーは、2014年の新浪氏の社長就任まで、1899年の創業以来、4代にわたって同族経営が続いてきた。
筆者は広告会社に勤務していた一時期、同社と付き合いがあったのだが、同族経営ならではの企業文化を維持しつつ、創業者・鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」の精神を受け継いだ、進取の気性に富む企業だった。
同族経営については、経営学の1テーマとして研究されているものの、非同族経営と比べてもメリット、デメリットの両方があり、どちらが優れているという結論は得られていない。ただ、日本は諸外国と比べて同族企業が多いこと、同族企業は寿命が長いという事実は確認できている。
サントリーは、洋酒メーカーとして創業したが、「日本企業らしさ」を維持しながら成長を続けてきた企業でもある。SNSの声をみていても、サントリーが築いてきた飲酒文化や、文化事業を賞賛する声が見られた。
とはいえ、新浪氏が社長を務めてきた10年間も、サントリーの企業文化は維持され続けていたように思える。新浪氏は、同社4代目社長で現会長の佐治信忠氏とともに、会長として新社長を見守ることとなる。
経営手腕の実際の評価とは別に、財界人としての言動について叩かれることの多い新浪氏。会長となって新社長に舵取りを任せ、表に出てくる機会が減っていけば、今後はもう少し「プロ経営者」としての客観的な評価がされるようになるのではないだろうか。
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