「自分には今まで使っていた筆箱がある。この筆箱のどこの位置にどのペンを何本入れて試験会場に向かうのか、勉強がやりやすくなるのか、今までの模試や普段の勉強でしっかり理解したうえで受験勉強をしていた。なのに、このタイミングで新しく筆箱を変えるというのは、今まで自分がやってきたルーティンをすべて壊さなければならず、今までの努力をすべて否定されることに等しい。息子の受験を失敗させたいのか!」
はたから聞いていると「いやいや、そんなに怒らなくても……」と思ってしまいますが、彼にとってはそれが死活問題だったわけです。
確かに考えてみると、今まで使っていた使い慣れた筆箱を直前の時期に変えるというのは抵抗感のある行為だったのでしょうし、わざわざ親からプレゼントされたら使わなければならないということも考えられますよね。
ルーティンを壊してしまうと精神的な負荷に
これは極端なエピソードですが、受験期に親御さんと子どもがけんかするパターンの1つが、この「ルーティンを壊してしまうこと」なのです。
どちらも、親の行為によって「家から塾まで電車で行くルーティン」「自分の部屋以外の場所で勉強するルーティン」を崩されて不快に感じたという意見ですね。受験生当人としては、1年以上も続けていて、ルーティンとして確立しているものも多いため、それを直前期に変えなければならないとなると精神的な負荷になってしまうこともあるわけです。
これらの行動が子どもにとってマイナスになってしまうもう1つの要因は、親からの善意であるという点にあります。
「塾まで送り迎えしようか」も「これで、部屋で勉強できるでしょ」も、完全に子どものことを思った善意100%の行為ですよね。それでも、それが子どもに対してプレッシャーを与えてしまうことがあるのです。
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