黒木華が振り返る「がむしゃらに走り続けた20代」 「肩の力を抜いてみたら、30代が豊かになった」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

28歳は、ちょうど仕事でも少しずつ自分の力が認められはじめる頃。ようやくつかんだポジションを手放すことが怖くて、つい無理をしてしまう。けれど、ちょっと休んでみることで、分かることがある。

黒木さん:役者は、いつ仕事がなくなるか分からない職業。今でも休むことが怖いという気持ちが完全になくなったわけではありません。

ただ、「3週間ぐらい休んだところでどうにかなるわけではない」ということは分かるようになりました。それに気付けただけで、以前よりずっと肩の力が抜けた気がします。
視線をそらす黒木華さん
(撮影:洞澤佐智子)

「悩んでいること」にそんなに悩まないで

「それは自分があの頃より成長できたから分かることなんですけどね」と、黒木さんは控えめに付け加える。

渦中でもがいている人は、目の前のことで精いっぱい。周りなんて見えないし、なかなか自分を省みる余裕も持てない。だからこそ、少し前をいく先輩の言葉が、闇夜を進む灯台になる。

黒木さん:いっぱい悩んだらいいと思います。人から見れば大したことのないように思えるものでも、自分にとってはものすごく大きい問題だったりすることはあるじゃないですか。悩みの深さは自分にしか分からない。

ドライに聞こえるかもしれないですけど、とことん悩めばいいと思う。悩むことは、悪いことじゃないよと伝えたいです。

黒木さん自身も、20代のときにたくさん悩んで考えたから、自分なりの心のあり方を見つけることができた。もがき苦しむ中でできた傷は全部、なりたい自分になるための成長痛だ。

黒木さん:悩みって、悩んでいるうちに解決方法が見つかったり、どうでもよくなったりすることもあると思うんです。時が解決するとはよく言いますが、あれは真実だなと。

だから、悩んでいることにそんなに悩まないで。「今、悩んでいるんだな」と客観性を持って自分を見つめることが、悩みとのうまい付き合い方だと思います。

黒木さんがこんなにも潔く、軽やかでいられるのは、友達とも、悩みとも、自分なりの適度な距離感や付き合い方を身に付けているからなのだろう。

20代は、無理のない私でいられるためのさなぎの季節。硬い繭を破ったとき、黒木さんのように、もっと私らしい私になれるはずだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事