足立と葛飾の複雑な「区境」で味わう静かな"興奮" 「境界協会」主宰・小林さんの"推し境界"を巡る

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こうして葛飾区と足立区の境界をたどり続けて約2時間。ついに「ゴール」である亀有駅近くにある中川の土手までたどり着いた。

この土手にももちろん、両区の境界線を示す看板が並んでいた。「境界線は地図にしか実在しませんが、実際に境界をたどるとゲームっぽいでしょ? この冒険的な感じがたまらないんですよ」と小林さん。一緒に境界をたどり続け、その意味がよくわかった気がした。

今回のツアーのゴール・中川の土手に並ぶ「葛飾区道」と「足立区道」の看板(撮影:今井康一)

きっかけは雑誌の特集制作

小林さんは荒川を挟んで東京都との「境界」にある埼玉県川口市の出身。

北海道旅行で有珠山噴火にたまたま遭遇したのを機に地形や地図に興味を持ち、大学では地形学を専攻。測量会社勤務などを経て、日本地図センターの職員になった。

2014年に境界協会を立ち上げたのは、同社刊行の雑誌『地図中心』の特集で今回の葛飾区・足立区周辺の境界を特集したことがきっかけだった。その後は面白い境界があるルートを調べ上げ、現在は都内を中心に約120のルートがある。

文京区と新宿区の区境を示すキスマーク(写真:小林政能さん提供)
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