足立と葛飾の複雑な「区境」で味わう静かな"興奮" 「境界協会」主宰・小林さんの"推し境界"を巡る
今回巡ったルートのほかにも、面白い境界ルートがいくつもある。
1つは日本地図を完成させたことで知られる伊能忠敬の足跡のうち、測量活動の「最初の一歩」に相当する門前仲町~浅草橋周辺をたどるルート。
再拡張が続く大田区の羽田空港周辺も、穴守稲荷など空港ができる前の歴史的なエピソードから現代までをつなぐ面白い逸話があるという。
そのほかにも、「西大泉町」という東京都練馬区の「飛び地」がある埼玉県新座市、栃木、群馬、埼玉の「三県境」が交差する場所、都内で東京が35区体制だった頃の旧3区の境界線がある場所など、聞くだけでわくわくするような「境界」がたくさんある。

目的は「地図に興味を持ってもらうこと」
「こうした境界をたどることで、多くの人に地図に興味を持ってもらいたいというのが私の活動の目的です。面白い境界を見ていると、自分の家の近所の境界も目にとまるようになる。境界は地域を分ける線ですが、地域をつなぐ地域の交差点でもあるのです」
境界を知ることで地域を知る。小林さんの活動には単に境界を面白おかしくたどるだけではなく、地域の魅力の本質を掘り起こす奥深さがある。
一般財団法人「日本地図センター」の月刊地図雑誌『地図中心』編集長。「境界協会」主宰。理学修士。1967年生まれ。埼玉県川口市出身。地理情報の調査収集、研究開発、普及活動などを手がける日本地図センターの職員として、各地の博物館、学校、カルチャースクールなどの街歩き講座を多数担当。「ブラタモリ」「タモリ倶楽部」といったメディアへの出演も多い。
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