足立と葛飾の複雑な「区境」で味わう静かな"興奮" 「境界協会」主宰・小林さんの"推し境界"を巡る
さらに自転車で亀有駅前まで来ると、大型商業施設「アリオ亀有」が見えた。実は両区の境界線が、アリオの1階の中を通っている。
さらに境界に沿って進むと、近くには大規模マンションがあり、同じ敷地内のマンションの棟と棟の間にちょうど区の境界線がある。同じ敷地内のマンションなのに子どもが通う学校は違う、という複雑な事態も想定されるのだ。

マンションとマンションの間を区境が走る(撮影:今井康一)
境界によくある”キスマーク”
このマンションの前には足立区と葛飾区の「境界標」があった。両区の境界標は仲睦まじく肩を寄せ合う恋人のように並んでつくられていて、小林さんはこの状態を「キスマーク」と呼ぶ。「このキスマークを見つけると嬉しく達成感があります」

左が葛飾区、右が足立区の境界標(撮影:今井康一)
さらに、古隅田川は江戸時代初期ごろまでは武蔵国と下総国の境界だったという。下総国の一の宮(ある地域の中でもっとも社格が高いとされる神社)は千葉県香取市にある「香取神宮」だ。亀有に「亀有香取神社」があるのは、かつて亀有付近が下総国だったことを示している。
これもまさに境界が生んだ歴史のロマンとでもいうべきエピソードだ。
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