「東大の値上げ」学生達が首を傾げる"問題の数々" 値上げの使い道など、疑問を抱く学生は多い

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これだけ根強い反対の声があるのは、学生には大学側が強引に値上げを決めたようにしか見えないからだ。

学費値上げの検討は今年5月にメディアの報道によって明らかになった。報道を受けて大学は、学内のシステムで「現段階では検討中で決定事項として周知できる情報はない」として、検討結果を速やかに知らせると説明した。

これに対して、本郷キャンパスで開催された五月祭では、学生らによる学費値上げ反対のデモが起きたほか、6月には学費値上げに反対する緊急集会も開かれた。同月に実施された藤井輝夫総長とのオンラインでの「総長対話」では、大学執行部だけで検討を進め、トップダウンで決定をしようとしているとして批判が集まった。

その後、大学側は学費値上げの有無を11月までに決めるとしながら、夏休み中の9月10日に突然学内のシステムで値上げ案を発表し、同月24日に正式決定したのだ。

学費20%値上げも、使い道に疑問

値上げ後の学費は次のように決まった。学部生に関しては、2025年度の入学者から授業料を20%値上げして、現行の年額53万5800円から64万2960円とする。大学院の修士課程についても金額は同様で、2029年度の入学者から対象となる。現行52万800円の博士課程の学費は据え置く。

同時に、学生への支援の拡充も発表された。現在は世帯収入400万円以下の学部生については学費が全額免除となっているのを、2025年度からは対象を世帯年収600万円以下の日本人学生に拡大する。また、修士課程の院生についても、現行は審査のうえで免除の可否を決めていたのを、2029年度から世帯年収600万円以下の日本人学生は全額免除となる。

学生が大きな疑問を抱いているのは、値上げ分の使い道だ。最も多くの金額が充てられることになっているのが、学修支援システムの機能強化やソフト・ツールの充実。今後、年間に66億円が必要とされ、そのうち年間6.2億円分を値上げによる増収で賄うという。

第2次アンケート調査でも半数以上の学生が不要、もしくは必要性があまり感じられないとの回答をしていたと自治会の学生は説明する。

※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

東京大学 値上げ 学費
東京大学が公表した資料(画像:同大「授業料改定及び学生支援の拡充について」より引用)

「何のための値上げなのか、本当に必要なのか、使途に疑問を持っている学生は多いです。学費値上げ分の投資で、どんな効果があるのかも説明されていません。施設の老朽化など使ってほしいところがあるにもかかわらず、何だかわからないことのために使われることに、絶望感すら覚えています」

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